By 持田浩次         

「マリアの信仰」

 神の子イエス・キリストが、天から人となってマリアから生まれるとき、天使ガブリエルが乙女マリアに現れて、「おめでとう、恵まれた方」と言いました。

 けれども実際には、マリアはまだヨセフと婚約中で、結婚していなかったので、妊娠することは社会的に許されない罪を犯したこととみなされました。それに、婚約者のヨセフの心を傷つけることにもなります。そうなると、ヨセフに何と言って説明したらよいか、分かってもらえるかどうか、本当に困ったことでしょう。

 しかしマリアは、そのような困難と問題を引き受けて、救い主イエス・キリストが神様のもとから人となって生まれて来ると言う大きな神様の計画に参加したのです。マリアは、「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身になりますように」と言いました。

 神様の意志に自分の意志を従わせ、神様の言葉に自分を従わせること、これがマリアの信仰の姿勢でした。信仰とは、自分の願いどおりに神様にきいていただくことではなく、神様の言葉と意志に自分が信頼して従うことなのです。

聖書の言葉

「わたしは主のはしためです。お言葉どおり、この身になりますように。」

(ルカによる福音書 1章38節)

「クリスマスの星」

 クリスマスのイメージの中に「星」があります。それは、イエス・キリストが神様のもとから遣わされて、人として馬小屋で生まれたとき、東の国の博士たちが「星」に導かれてやってきたことに由来します。

 第一次世界大戦の時の12月に、アメリカで窓辺に星をつりさげることがはやりました。その星は、家族のだれかを戦争に送りだしている印でした。一人送りだしている家では一つ、二人送りだしている家では二つ、その人数だけ星をつるしたそうです。

 小さい子供が、お父さんと夜道を歩きながら聞きました。「お父さん、あの星は何の印なの。」するとお父さんは、「あの家から大切な人を送りだしている印なんだよ。」と教えました。

 その子は夜空を見上げて、「お父さん、神様も天の窓に星をつるしているね」と言ったそうです。神様が大切なひとり子のイエス様を送ってくださったのが、クリスマスです。クリスマス・ツリーの星を見る時に、神様が大切なひとり子のイエス様を送ってくださった印だということを思い出してください。

聖書の言葉

「神は、その独り子をお与えになったほどに世を愛された。独り子を信じる者がひとりも滅びないで、永遠のいのちを得るためである。」

(ヨハネによる福音書3章16節)

「馬小屋で生まれた主」

 イエス・キリストは、天におられた神の独り子なのに、どうして馬小屋で生まれたのでしょうか。馬小屋は、暗くて、汚くて、寒いところです。それは、神様から離れてしまった私たちすべての人間の心と同じです。

 神様から離れてしまった私たちの心は、罪を犯すことにはとても簡単で、正しいことには多くの努力が必要です。それほどに私たちの心は汚れてしまいました。自分には優しくなれても、人には冷たくなってしまいます。病気や死を恐れて、心には底抜けの明るさがありません。そういうわけで、人の心はちょうど馬小屋のように、暗くて、汚くて、冷たいのです。

 けれども、イエス様は、あえて馬小屋で生まれることを計画されたのです。イエス様が馬小屋で生まれてくださったことは、私たちの心がどんなに暗くて、汚くて、冷たくてもイエス様がありのままで愛して、明るさと、聖さと、温もりを与えてくださる約束のしるしなのです。

聖書の言葉、イエス・キリストの言葉

 「見よ、わたしは戸口に立って、たたいている。だれかわたしの声を聞いて戸を開ける者があれば、わたしは中に入ってその者と共に食事をし、彼もまた、わたしと共に食事をするであろう。」

(ヨハネの黙示録 3章20節)

「希望の源である神」

 阪神大震災の後で生まれた子供たちに、付けられた名前で、最も多く使われた字は「望み」だったそうです。生まれた子供の存在が、家族に希望を与え励ましとなっていることを感じます。

 三年前のクリスマス・イヴの礼拝に、あるお父さんが三人の息子さんを連れて、初めて教会にこられました。

 一か月前にお母さんが病気で亡くなったばかりで、その上お父さんは仕事のためにアメリカに行かなくてはならなくなってしまいました。仕方なく、二人の子供がお母さんの両親の家に引き取られ、もう一人はお父さんの両親に預けられることになりました。これが、家族で最後のクリスマスになりました。

 けれども、いつかまた一緒にお母さんと暮らしたこの町に帰ってくることを誓い合いました。いつかまた一緒に暮らせる日が来る、その希望が家族みんなの力になったのです。

 希望を持つことは、今日を耐える力となり、明日を生きる力となります。神様こそ、あなたに確かな希望を与えて、それを実現させてくださるお方です。

聖書の言葉

 「希望の源である神が、信仰によって得られるあらゆる喜びと平和とであなたがたを満たし、聖霊の力によって希望に満ちあふれさせてくださるように。」

(ローマの信徒への手紙 15章13節)

「お祈り」

「あなたは豊作の年を冠として地に授けられます。あなたの過ぎ行かれる跡には、油がしたたっています。」

(詩編 65編12節)

 この年の神様の恵みを感謝し、新たな一年も神様が恵みと祝福で満たしてくださるようにお祈りいたしましょう。

 「恵み深い天の神様、この一年のあなたの恵みを感謝いたします。新しい年もあなたがいつも共にいてくださり、恵みをもって導いてください。愛する家族のひとりびとりを祝福してください。あらゆるわざわいから守り、罪や誘惑に負けることのないようにさせてください。新しい年もあなたの力におゆだねいたします。どうぞ、導いてください。このお祈りをイエス様のお名前によってお祈りいたします。 アーメン。」

神様の祝福があなたの上にありますように・・。

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